【長編連載小説】 『こころの座標』 (21) 第7章 音と沈黙の曼荼羅—⑤
すべてが鳴り、そして、すべてが静まる。
世界はまるで、大いなる呼吸のように――
音と沈黙を交互に織りなしながら、曼荼羅を紡いでいく。
空海は、沈黙のなかに潜む“響き”を語る。
それは、言葉にならない願い。
それは、語られなかった祈り。
デカルトは、はじめて“沈黙そのもの”を思考する。
理性では届かない深みの底で、ただ音もなく何かが震えているのを感じながら。
曼荼羅は、響きと無音のあわいで広がり続ける。
そこに浮かぶのは、宇宙の心臓の鼓動、そして、ふたりの魂が重なりゆく最後の座標。





