【長編連載小説】 『こころの座標 外伝:失われた時間の旅』(17)第3章 戦場の影と幻影の師 血に染まる大地―③
戦場を歩きながら、デカルトは気づいていた。
自分の内側で、何かが静かに止まり始めている。
それは恐怖ではなかった。
絶望でもない。
ましてや諦めではない。
――思考そのものが、言葉を失い始めている。
これまで、彼は世界を「理解できるもの」として扱ってきた。
疑い、分解し、再構成する。
理性とは、混沌を秩序へ変換する装置であり、人間が世界に対して持ちうる最も確かな武器だと信じてきた。
だが、いま彼の前に広がる光景は、その装置の外側にあった。

