【長編連載小説】 『こころの座標 外伝:失われた時間の旅』(18)第3章 戦場の影と幻影の師 幻影としての師―④
霧が薄れたあとも、戦場は静かではなかった。
音は戻っていたが、それらはすべて距離を伴っていた。
叫びも、命令も、嘆きも――どれもが直接届かず、空気の層をいくつも越えてから耳に触れる。
デカルトは歩いていた。
第3節で立ち止まった場所を離れ、再び前へ進んでいる。
だが、その歩みは以前とは違っていた。
世界を把握しようとする視線ではなく、世界に身を委ねながら確かめるような歩みだった。








