こころの座標ー外伝1 【長編連載小説】 『こころの座標』 外伝:失われた時間の旅(3) 第1章 荒廃した村の影—②
霧の幕を抜けると、地形がわずかにひらけた。かつて畑であったと思われる土地が広がっている。しかし土はひび割れ、草は茶色に枯れ、ところどころに残る石垣だけが耕作の名残を示していた。 デカルトは歩を止めた。前方に小さな屋根が見える。低く傾いた家が数軒、寄り添うように建っている。煙突からは細い煙が上がっていたが、焚かれているのは薪ではなく、湿った藁か枯れ枝のようで、煙は重たく鼻を刺した。
